携帯電話を封印し、暗闇の中で自分の感覚を研ぎ澄ませて猿島の自然と作品と対峙する芸術祭「Sense Island – 感覚の島-」。人との対峙ではなく 自然と時間と感覚に向かい合う唯一無二の芸術祭として、横須賀の無人島「猿島」を舞台に 、1回目は2019年、2回目はコロナ禍による延期を経て2022年1月に、そして第3回目を今年11月に開催する。
2022 年のテーマは「Behave(感覚行動)」。テクノロジーや時間の概念を取り払い、猿島にある自然の文脈を感じ自分自身と向き合うような作品や体験を通して、元々私たちが 持っていたであろう”感覚”をもう一度取り戻したい—。これまでの Sense Island のコンセプトを基礎に、2022年は来訪者の感覚を最大限 にひらくために「Behave(感覚行動)」をテーマに作品やパフォーマンスなどを展開する。
今、あなたには何が見えますか?
今、あなたには何が聞こえますか?
今、何に触れていて、そこから何が伝わってきますか?
人類へと続く種が誕生してから500万年、人類としての活動が始まってから約1万年。 人間は周囲の自然やそのルール、到底かなわない力やさまざまな恵みと共に変化し続けてきました。 文明の進化と言われる大きな変化は、自然や生物としての人間の本能をも超えつつあり、環境破壊やそれによって起こる気候変動の影響は歴史上あま りにも大きく、地質学的に「人新世|アントロポセン」人類中心の時代となったとも言われています。
もう一度人間が、感性豊かな生物であることを多くの人に感じてもらいたい。 アートという創作物を通して、さまざまな感覚を呼び戻すきっかけを作ってもらいたい。
Sense Island – 感覚の島- はそんな考えから2019年に第一回目を開催しましたが、翌年にはコロナウイルスという未曾有の危機に全ての人ととも に直面しました。
今現在でも「人間」という生物の存在がゆらぎ続けていることを痛感します。 東京湾で唯一の自然島である猿島に、普段足を踏み入れることのできない夜に、Sense Island は開催されます。猿島ではカメラやインターネットを 遮断し、目、耳、鼻や皮膚から取り入れる情報だけを頼りに島内を巡り、音、光、カタチを発する様々な作品やパフォーマンスを通してもう一度、生 物としての自分と自分の持っている本来の感覚を体感して欲しいと考えています。
Sense Island プロデューサー 齋藤精一(パノラマティクス主宰)